お金を生まない技術は不要なのか?と考えている人に"不戦無敵の影殺師"というラノベをオススメしたい

"不戦無敵の影殺師"というラノベがとても面白かったので紹介しておく。
作者が趣味で書いていたものをガガガ文庫が出版させてくれた、という経緯の作品とのこと。そのため最近のラノベのトレンドとはちょっとずれた作風になっている。
簡単に言うと"異能力者は危険なので管理したいのである"という世の中に対して異能力者たちはどういった立場を取るべきか?という内容の話。"異能力"を"高度な技術"と置き換えると技術者のひとたちにも身近な話であるように感じる。


物語には二人の重要な人物が登場する。ひとりは主人公、冬川朱雀。もうひとりは、最強の異能力者と呼ばれている瀧ヶ峰万里。どちらも暗殺者の家系であり高度な異能力を扱える。
だが世の中は派手だが危険度の少ない、パフォーマンスとしての異能力を求めている。異能力パフォーマーにならなければ仕事がなく、生きるためのお金を稼ぐことができない。
これに対して朱雀は異能力者をパフォーマンス扱いされることに不満を感じている。一方、万里は徹底した異能力パフォーマーとなることで異能力者の地位向上を目指している。
物語の中で朱雀は生きるために様々な試みをする。低収入でもまともな異能力者としてやっていくのか?パフォーマーとして生きるべきか?そもそも異能力を捨てるべきか?
結末は是非本作を読んでいただきたいのだが、一点だけ。本作では一部の凄い能力を持った人が凄く頑張った結果幸せになりました、といような話ではなく、普通の人が普通に"最善"であるパフォーマーになったらどういうことになるか、というような点に言及している点がとても良かった。
個人的に森田先生のような独特な作風の作家さんは応援しているので、こうした作品を出版したガガガ文庫は偉いし、こうした(作家が趣味で書いた作品を出版する)試みが増えると良いなあと感じている。