物語:村人と勇者

むしゃくしゃしてやった。反省はしていない。

ある村人が勇者にたずねて言った。
「勇者様。私も勇者になりたいのです。」
勇者が答えて言った。
「勇者は上級職の上級職である。
基本職のお前はまず上級職であるスーパースターを目指してはどうか。」
そこで村人はスーパースターを目指すことにした。

「勇者様。スーパースターになるにはどうすればよいでしょうか。」
勇者が答えて言った。
「簡単だ。踊り子と遊び人を極めれば良いのである。」
そこで村人は踊り子を極めることにした。

村人は踊り子を極めたので良いパフォーマンスが出来るようになった。
パフォーマンスをすることで、いまや実力以上の評価を得るようになった。
そこで村人は遊び人を極めることにした。

村人は遊び人を極めたので仕事にゆとりを持つようになった。
仕事量は減ったがパフォーマンスを行うことで
これまで以上に評価は高まった。

「勇者様。私は踊り子と遊び人を極めました。
仕事ぶりが評価されとても幸せです。」
勇者は答えて言った。
「見よ。それこそがスーパースターである。
いまやお前の評価を揺るがすものは何も無いであろう。」
村人は満足して言った。
「おお。勇者様ありがとうございます。
それでは次に勇者になる方法を教えていただきたいのです。」

勇者は長い沈黙のあと言った。
「残念だが、選ばれたものしか勇者にはなれないのだ。
お前は選ばれたものではないようだ。」

村人は絶望して言った。
「おお。それでは私は希望を捨て村人として生きることにします。」

という夢を見たんだ。