「ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」」読んだ

machy氏からお借りしていた「ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」」を読了した。タイトルにある「ゴールドバッハの予想」に挑戦して人生を狂わせた人の話。フィクションなのだが、普通に実在の数学者もでてくる。なので読んでて最初「あれこれ実在の人?こんな人いたっけ」と思ってしまった。それくらい描写がリアルだったということだが。
序盤で「素数の個数は?」という問題が出てくるのだが思わず可算個とか思ってしまった(普通に無限ってだけでよかったみたい)。なんという職業病(職場では数学使わないが。。)。


ペトロス伯父の師匠はカラテオドリ先生(実在のひと)。ルベーグ積分で出てくるカラテオドリ測度で有名なあのひと。他にもチューリングゲーデル等有名な人が色々出てくるので面白い。
難問に挑んで狂気に陥る数学者、というと普通の人とは違う世界の話に感じるけど、この話は要するに評価や承認欲求といった普遍的な問題。評価して欲しいので上を目指すけれど、上にいくほど理解出来る人が減っていって評価されなくなる、といったような話。思い当たる節のある人も多いのでは。
結局評価はパフォーマンスなので、「ワタシたいへんデース。キビシクせいさシテルノデース。ムズカシイデース。」と言ったもの勝ちだったりして、やったことの意義とかはあんまし関係ないんだよねー。
それはそうと本作はペトロスの弟の息子が語り手。なので最初はペトロスの甥っ子視点で話が始まる。なので甥っ子の物語に期待していると肩透かしを食らう。中盤からは完全にペトロス話で終わりまでいってしまう。つか私は甥っ子の数学ロード突っ走るよ展開を期待していたので、あれれこの人何あっさり数学諦めてんのよとか思ってしまった。
天才の苦悩系の話が好きな人にはオススメ。200P程度でさくっと読めるし数学の知識は不要なので万人向けではある。数学系の人がニヤニヤできるネタもあるのでそういう方にもオススメかもしれないが、逆に数学者こんなんじゃないお!と思う人もいるかも知れない。