これは斬新。ディベート系ラノベ「彼女を言い負かすのはたぶん無理」

2010年3月の創刊以来4冊しかタイトルが発売されていない上に6月を最後に沈黙を守っていたスマッシュ文庫
そんなスマッシュ文庫から久しぶりに新刊が。その名も「彼女を言い負かすのはたぶん無理」。タイトルから最後に彼女が言い負かされることが予想される素敵なタイトル。本作はディベートというライトノベルでは珍しい題材を扱った作品。ディベートなので言い負かす、というわけ。珍しい題材であることに加え、スマッシュ文庫には素敵な思い出があったので、ついカッとなって購入した。

参考:
破小路ねるのと堕天〈だてん〉列車事件 - EchizenBlog-Zwei


というわけで早速読み終えた。ラノベらしく改行がやたらと多いため1-2時間で気楽に読める。
やはりディベートという珍しい題材を扱っている点が本作の特徴なので、どういう扱い方をしているのか気になるところ。で蓋を開けてみるとディベートの場面がほとんどない。というかまともにディベートしたのが最後のところだけ。すごい。さすがスマッシュ文庫。期待を裏切らない。
一方でヒロインの描写はわりと気合が入っていて良いんじゃないかと思った。性格キツイ系のヒロインだけど、妙にかわいく表現できているのは凄いんじゃないかと思った。まあ、ヒロイン描写にページを使い過ぎて肝心のディベート描写や諸々の伏線の回収がおざなりになっている点は気になったけど。
あと紹介される前に人物名が普通に使われていたり、鼓動が消えたという描写のすぐ後に鼓動が高鳴りっぱなしとか書いてあったり、矛盾のある文がちらほらあるのも気になった。これは作者というより編集側の怠慢だと思う。ラノベに進出するならするで、もっと力を入れてあげてください。
と色々言ってはみたけど意外と面白かった。キャラは意外と魅力的であるように思うので、そういうのが好きな人にはオススメ。ダメな子ほどかわいい的な意味で応援していきたい。ついでに。ディベート部分が端折られまくっていたのは読者のつっこみを恐れていたんじゃないかと思うんだけど、そこは本作のウリなんだから自重せずに突っ走ってもいいんじゃないかと思った。次巻に期待したいところ。
どうでもいいけど、スマッシュ文庫って創刊時はワンコイン(500円)を売りにしていたのに本作は650円だった。あっさり方針転換。すごいね。