話題のSF作品「ねじまき少女(上)」を読んだ
なんでも主要なSF賞を総なめしたとかで話題になったThe Windup Girlの邦訳「ねじまき少女」を読み始めた。上巻を読み終わったので感想メモ。ネタバレとかはないです。
で感想。特に根拠もなくハードSFだと思い込んでいたのだが、本作はかなりエンターテインメント性がある、というかライトノベル的な雰囲気の作品だった。久々に読むSFなので気合を入れて読み始めたが割と気軽に読める小説だった。
作品紹介は
を参考にしていただくとして、個人的に感じたことなどを書いていく。
まず、本作には主要な登場人物が4人いて簡単に紹介すると
アンダースン・レイク: 西洋人。恐らく主人公。 謎の果物ンガウの秘密を追って奔走する。 すぐキレる。 ホク・セン: 中国人。かつては社長。現在は最下層民。 昔の栄光を取り戻そうと暗躍する。根暗。 エミコ: タイトルにある「ねじまき少女」。 奴隷のような扱いを受けていたが、 あるきっかけによって自由を手にするために立ち上がる。 意外と出番は少ない。あとよくえろい目にあう。 ジェイディー・ロジャナスクチャイ: <バンコクの虎>を名乗る役人。 運命<カルマ>に従って行動する。 中二病患者だが妻子持ち。 無表情系美女のカニヤという副官がいる。
となっている。章ごとに主役がかわり、この4人の誰かの視点で物語が描かれる。
上巻が終わった段階ではまだ物語は大きく動いておらず(終盤になってようやく動き始めた感がある)、特にSF的な面白さは見えてこなかった。しかし登場人物が個性的なこともあって楽しみながらさくっと読めてしまった。本作はどうやら作者の過去の作品の設定を使っているらしく最初は世界観を把握するのに大変だったが、ヤマをこえたあとは一気に読める感じだった。とりあえずねじまき少女のエミコが主役の3章あたりまで読むと面白くなってくる気がする。下巻が楽しみ。
余談だが本作の日本の描かれ方がちょっと面白かった。ソニー製の屏風(なにそれ)がでてきたり、カイゼン・スタジオなる場所でねじまき少女たちが厳しい訓練を受けていたり、それどこの日本だよ!と思ってしまった。カオス。