ブログでブックマーク数を稼ぐときはティッピングポイントを気にするといいのかも

先日部屋を掃除していたら昔購入した「急に売れ始めるにはワケがある(原題: The Tipping Point)」という本が出てきた。購入したはいいけど読む時間がなくて積ん読していたことを思い出した。
せっかくなので読んでみたら面白かった。ブログを書いているとブックマーク数とか結構気になったりする(承認欲求的な意味で)。というわけでブクマ数が稼げるように色々考えたりしていたのだが、考えていた内容が概ね本書の主張するところと近いものだったので「まあ、そうだよなー」と思って読んでいた。
本書では物事が広まるときはある時点で急に広がるよ、と言っている。それが原題のティッピングポイント。そういう意味では原題のほうが直接内容を表したタイトルとなっている。邦訳タイトルも悪くはないが、ビジネス書な印象が強くなりすぎている気がする。
実際は本書は会社で企画をやっている人向けに限らず、多くの人にとって参考になる内容が書いてある。ブクマ数に限らず、自分の主張を通さなければならない場面というのは色々あってそういうときは事前に主張が通りやすいような状況を作っておく必要がある。そういうときは本書のテクニックとか役に立つんじゃないかと思う。


本書では物事が広まるための重要な要素として「少数者」「粘り」「背景」の3つを挙げて、それぞれについて解説している。
「少数者」というのはイケてる(しかし一般には広まっていない)ものを広めることのできる少数の人達を指す。少数者には「コネクター」「メイヴン」「セールスマン」の3種類ある。簡単に言うと「コネクター」は交友関係が広い人。「メイヴン」はある分野についてものすごく詳しくてそれを周りに伝えるのが好きな人。「セールスマン」は物事を魅力的に感じさせることが出来る人。
ブクマ数の例で言うならフォロワーがめちゃくちゃ多い人(コネクター)にtwitterで記事を宣伝してもらうとか、特定の分野(私の場合は簡潔データ構造や機械学習)のプロ(メイヴン)に興味を持ってもらえるような記事を書くとか、「この人に紹介されると伸びる」というような人(セールスマン)に紹介してもらうとかすれば良いことがわかる。
「粘り」というのは物事(コンテンツ)自身が持つ興味を引く/印象に残る力のようなもの。本書では例としてTV番組「セサミストリート」が子供の興味を維持させるための工夫などが紹介されていた。
ブクマ数の場合、私の記事では機械学習のオススメ教科書を紹介したり、SVMの実装方法を紹介した記事が伸びが良かったのだが、これらの記事は「興味ある人は多いけれど、満足のいくコンテンツがこれまで少なかった」という点で「粘り」が多少なりともあったのかなーと思っている。
「背景」というのは物事が広まるときの状況で本書では例として「神学生が行き倒れになっている人を助けるか?」という実験などを紹介している。ちなみにこの実験では神学生がどのような考え方の人物かによらず「その時急いでいたかどうか」という「背景」が最も重要な決断要素になったとのこと。
これはブクマ数の例だと非常に顕著で、土日に書いた記事はほぼブクマされないが平日夜に書いた記事はわりとブクマされやすい(実体験あり)とか、内容の善し悪しよりもブクマ数に与える影響はどのタイミングで記事を投下したかとかのほうが大きいことはよくある。


・・・というわけで本書はわりと納得する内容だった。最近はラノベと技術書くらいしか本を読んでいなかったのでたまにはこういう本も良いなーと思った次第。