「マンガでわかる有機化学」が想像以上に優良書籍だった

バイオインフォマティクスの本を読んでいると自然と化学式なんかが目に入って来る。ただ私は化学に関して素人であるため化学式が読めなくてイマイチ楽しめない。そこで良い入門書はないかな、と探していて出会ったのが本書「マンガでわかる有機化学 結合と反応のふしぎから環境にやさしい化合物まで」。
「マンガでわかる」というと、とりあえず萌えキャラを出してみました的なものを想像されるかもしれないが、本書はそういった類とは一線を画しているように思う。


本書のポイント1。密度が濃い。あくまでこの手の書籍と比してだが、本書は必要な情報が詰め込まれていて密度が濃い。素人でも最初の20Pを読めば化学の基礎が身につくレベル。
本書のポイント2。マンガパートとの連動。本書は見開きの左が解説パート、右がマンガパート。マンガパートは特にストーリーがあるわけでなくマンガとしては面白いかというと微妙なのだが、実は解説パートの補完という意味で大変優秀なものになっている。従来の解説書での図+表をマンガというコンテキストでつないでいる感じ(変な説明だな。。)。
本書のポイント3。値段。1000円。他のマンガ系入門書に比べて格段に安い。しかも全ページカラー。
本書のポイント4。著者の意気込み。詳細は前書きを見てもらうとよいが、著者は有機化学を「理論的であると同時に芸術的」と語っており、大変な思い入れを感じる。毒にも薬にもならない前書きに比べると大変好感が持てる。
本書のポイント5。インデックスもちゃんもついてる。最近は入門書だと平然とインデックスがついてない困った本が氾濫している中、ちゃんとインデックスが付いている。えらい。
というわけで大変良書なので、機械学習からバイオインフォマティクスに入った人にも、普通に有機化学に入門したい人にもオススメ。
私のように高校で化学が止まっている人は、HやCの簡略化された構造式(蜂の巣みたいなアレ)が出てくるだけでもうお手上げだったりすると思うのだが、そういう人は是非本書を読んでいただきたい。41P目の表を見ただけで解決するよ。